消えるような声で呟いた声は弥生には届かなく、


「なんか言った?」


「いえ、何もないです」



変わることなく太一の側にはたくさんの女の子。


毎日、毎日違う顔、違う声があたしの目に映る。


嫌でも嫌と言えない。
辛くても辛いと言えない。


あたしはただ黙って大人しく太一の命令を待っているだけしかないのだ。




「―…沢、沢さん、藍沢さん!」



ポケーっと気を抜いていたあたしに話かけてきたクラスの人。



「えっ、はっい!えっと…」


「立川です。今日の放課後、旅行委員の集まりあるからよろしくね」



「旅行委員?」