太一からの条件に渋々承諾するしかなかった。



「…分かったら、腕、離して」



ギュッと強く握りしめていた腕を離した。

そのまま離された腕をあたしの手の中から、するりと抜いてドアを開けて出ていった。



「バッ、バイバイ!」


とドア越しに言っても返事は返ってこなかった。






今日で太一とは友達でも家族でも幼なじみでもなくなって、【太一の用事の時のみ呼び出し】という新しい関係になった。



もう昔みたいにじゃれることも、言い合いすることも、笑い合うことも…一緒に側にいることも出来なくなった。



だけど唯一の繋がり、関わりを持つことができた。



太一の気まぐれで幸せになったり苦しくなったりするかもしれないけど、関わりがなくなるよりは全然まし。