【佐喜side】


俺は部長に命令されて部活になかなか来ない鈴を呼びに行かされていた。





ったく。あいつはどこで油うってんだよ。
面倒くせーな。






あいつ何組か知らねーわ。
あー面倒くせぇ。





俺は1組から順番に見ていくことにした。






いねぇ。この組にもいねぇ。





あっ。いた…。





ハァ。この俺様に手間かけさせやがって。





『おい。部長が…、』




俺は途中で言葉を詰まらせた。




あいつが俺に背を向けて肩を震わせ、手で顔を覆っていた。






…泣いてんのか?





チッ。面倒くせぇ。
やってられっか。




俺は鈴を置いて帰ろうとした。




「…ヒクッ…ウッ…ヤダ…ヨオ…」





『おい』




…何声かけてんだ俺は。
いつもなら女の一人や二人泣いていても声をかけるどころ目を合わせることもない。




……ってかなに無視してんだゴラアァアァァアっ!!



んなんだよ。
誰が声かけてやってると思ってんだよ。



もういい。
こんな女気にした俺がバカだった。