すれ違う恋の行方

「さすがに秀の女には手ぇ出さねぇよ。
 もうあの時とは立場がちげぇんだからさ」

『……』


あたしはもう何がなんだか分からなくて
叩かれたおでこを押さえながら、春樹の顔を黙って見ていた。


「何々?本気にしちゃった?」

『なっ…!!』


イタズラな笑みを向けてくる春樹に、カァーッと一気に顔が赤くなる。

本気でビビッた自分が悔しかった。


『最悪!最低っ!!
 春樹のバカ!!』


あたしは春樹にそう言い捨てると、一人屋上から出ていった。





「バカはお前だ…。
 この鈍感…」


そう言った春樹のつぶやきに気付かずに…。