「これはなかなか難しいかも」


見るからに子供の私だけでは、怪しすぎて間違いなくドアマンに呼び止められ中には入れないだろう


誰か付き添いの人がせめていれば……!


「あっ!!」







――一時間後


「お客様、当ホテルに何か御用で……」


全身黒ずくめのスーツに身を包み端正な顔立ちをしたドアマンが

とある二人組を入り口の前で呼び止めた




「用がねぇと来ちゃいけねぇのかよ、あ?」



そう言って自分と同じ目線のドアマンをギラッと睨みつける海翔



「ここはお偉い人間しか受け付けなくて、俺みたいなガキには向いてねぇとでも言うのか?」

「あ、いや、そんな事は……」

「俺を誰だと思ってんだ。アラブンブン国王の一人息子だぞ?」

「――えっ!?」



ドアマンの驚愕した表情と、海翔のむちゃくちゃな話に
私はつい俯き笑いを堪える


「親父に言っておかなくちゃな。ここのドアマンは国王の息子の顔すら知らねー人間なのかって。これじゃ日本の政治と経済に大きな支障をきたすな」


フンと尖った口振りでそう言うと
もっ申し訳ありません!!と先ほどとは一八〇度態度を変えて頭を下げてきた