ダメだよ!
教授のプライベートだもん!

勝手に見るなんて絶対にダメ!!



天使の囁きが必死に囁く



全く違う二つの意見が私を混乱させる



「うう……」



手に持った封筒をじっと眺めながら
どちらの言い分を取り入れるか検討中……


見ちゃえ!
ダメだよ!


あああっ
悩むなーオイッ!!



――ガチャッ!



その時出かけたはずの教授が慌てて研究室に戻ってきた



「肝心な靴を履くのを忘れてしまいました!」


肝心というか

何故靴を履いていない状態で行ってきますとのんきに出かけられるんだっっ!


その神経どうかしてますよっ教授!!




「ん?何やってるんですか一号」


その時ふと目に入った私の姿に頭を傾げる素振りを見せた教授



「あっ、いや、かっかくれんぼです!中村さんと!!」


教授の突然の帰宅に驚いた私は

慌てて忍者のように部屋の天井隅に張り付いたのだ


「それは新しい奥義ですね、勉強になります……」


――いいから早く行ってくれっ!

いい加減、太ももと腕がプルプルしてきたからさ!



椅子に座り、デスクに向かって書き書きとペンを走り始めた教授に
若干の怒りを覚えた