ハァ…

研究室を後にして建物の外に出てきた教授


寒そうに身を縮めマフラーを首にかける



「……」



その時廊下に現れた一人の人物に
教授は目を大きく見開いて驚いた



「一号」



ハァハァと息を切らして教授の前に立ちはだかる私



「忘れ物ですか?あ、やっぱ給料に不満……」

「これお返しします!」



私は早歩きで教授に近づき

言葉を遮るように茶封筒を突き出した




「?」

キョトンとした表情で茶封筒を受け取り中身を確認すると

給料として支給したあの大金がまるまる入っていたのだ



「一号、これは……」

「そんな大金やっぱり受け取れないです!たしかに大変な仕事ですけど……、私はそれなりに楽しいですし」



驚く教授に私は鼻を赤くしながらえへへと笑う


「……」



唖然としながら私を見つめる教授



その時冷たい夜風が吹き一瞬身震いした私は

ヘッチキショウ!と加藤緑茶並の親父臭いくしゃみをしてしまった



「何ですか、その豪快なくしゃみは」


クスクス笑いながら目を細め私を見つめる教授


そして、していたマフラーをおもむろに私の首にかけてくれた