「ういっす」

翌日朝の登校


背後から私に声をかけてきたのは海翔だ



「早く暖かくなんねぇかな~」

「うん……」

「暖かくなったらバイクで走りに行きてぇな~」

「うん……」


愛想のない返事に海翔がムッとする



「人の話聞いてんのかよっ!」

「いだっ!」


額にデコピンされ、思わず声をあげた


「痛いなぁ!もう!!」

「おめーが人の話聞かねーからだろうが」

「アンタの中身のない話なんて興味無いのっ!」

「言ったな、この女~っ!」



たくさんの生徒が登校する校庭のど真ん中で

互いに頬を指で引っ張り合う私達



「いだいぃぃぃ、はやぐはなせぇえ」

「おまえがはなしたらはなしてやるぅぅう」



両者負けず嫌いの性格なだけあって
一歩も譲ろうとしない



「はいはい。朝から夫婦喧嘩しない」



その時、由香里が現れて平然と私達の間に割り込み仲裁した



「「夫婦じゃねーっつーの!!」」



気持ちいいぐらいにハモった言葉に

一部始終を見ていた周りの生徒から拍手喝采を受ける


「これで学校公認のバカ夫婦誕生ね。おめでとうさん」

「「バカって言うなぁああー!」」




叫び声が校庭中に響いた