「お前またバイト始めたのかよ、あのうさんくせぇ缶詰め工場は?」
「もう辞めたの、ってうさんくせぇとか言うなっ、つーの……っ」
いつもならキレのいいツッコミが炸裂するはずなのに
その弱々しい発言に由香里と海翔は思わず顔を見合わせた
たはぁ……
ホント絶不調だ
――大学院
「そうですか……、あまり無理はなさらないで下さいね。どうかお大事に」
教授は会話を終わらせると
そっと電話を切った
講義を終え大学院の廊下を歩く教授に、すれ違った院生達が頭を下げて挨拶をする
“シュウ教授カッコイイね////~”
女性が横を通り過ぎれば黄色い声
“シュウ教授だ!講義わかりやすいしマジ尊敬だぜ”
男性が横を通り過ぎれば尊敬の眼差し
“シュウ教授の研究観点はいつになく目を引くよ”
同じ研究者達が横を通り過ぎる度に絶賛の嵐
「シュウ教授!まーた経費の領収書出すの忘れたね!?」
「すっすみません!すみません!!」
大学院の経理担当の中年おばちゃんに見つかれば
いつも頭を下げて謝る始末……
時にその研究内容で変人扱いされるが
教授はそれなりに周りから愛されているらしい