それはまるで中世ヨーロッパの貴族が住む洋館といっても嘘じゃない


というかそんなに金があるなら

この築二十年の木造オンボロガッタガタ(それは言い過ぎ?)のアパートを立て直しするか



せめて室内に風呂場を設置してくれ!!と声を大にして呟いてみたい



と、話はそれたが
管理人さんが言うあれ、とは切れた電球を変える仕事の事だ


いつも管理人さんがいるだだっ広いリビングには、バカラのガラスシャンデリアがあり


五メートルのハシゴを伸ばして登り
専用の細長い棒状の器具を使って電球を変えないといけないのだ



「よかったわ~LEDはやっぱり明るさが違うわね。これで三十年は電球変えなくてすむわ」



パチパチと手を叩きながら笑って話す管理人さんを見て

三十年……三十年はちょっと厳しくないか!?と絶対に口には出せない失礼極まりないことを心の中で思いながら


私は手慣れた様子で梯子から五メートル下の地上へ降りる




「あと、やること他にありますか?」

「もう大丈夫だよ。後は執事に任せるから」


――じゃ電球も執事に変えてもらえばいいじゃんっ!


そういう少しぬけたところ?が管理人さんの可愛いところでもあるのだ