「おはよう、繭ちゃん」


爽やかな日曜日

時刻は朝の七時を回った頃だ



「おはようございます、管理人さん」



外の郵便受けに新聞を取りに行く途中
七十越えたお婆ちゃん管理人さんとばったり会った



今日も毛糸の帽子を被り、和柄の渋いちゃんちゃんこを着て腰を曲げながら

アパートの敷地内を掃き掃除している





元々亡くなった両親と面識があったらしく
住んでいた一軒家が、親が残した借金返済の為差し押さえされ、住む場所が無くなった私を


管理人は良かったらと声をかけてくれて

家賃五千円で特別提供してくれたのだ




「ちょうどよかった。繭ちゃんまた、あれいいかしら?」

「いいですよ」



管理人さんが申し訳なく言った言葉に私は笑顔で応える


あれとは……





キュッキュ!


「つきましたね」



管理人さんは
同じ敷地内にあるめちゃくちゃ広く、めちゃくちゃ綺麗な西洋な一軒家で一人暮らししている


アパート経営ってどんだけ儲かるんだ!?と思わずにはいられないほど無駄に部屋はあるみたいだし

玄関前にある噴水からは、マーライオンが口から水だしてるし……