「どうしちゃったんですか?せっかくお兄さんと会えたのに」



私が何気無く聞いても、教授は口をへの字にしてずっと俯いていた




「…兄はいつも出来が良くて、りょうしんは弟の私とよく比べていました」



教授はプチプチとちぎった葉をまた更に指で細かくちぎり始め

小さなか細い声で語り始めた








「嫌でした。私は私なのに、いつも変人扱いしては兄を見習いなさいと叱られることが。両親、いや特に母親からみて兄は自慢の息子だったようです。同じ日にたった三秒早く産まれた兄に方が」




パラパラとちぎった葉が雪のように地面へ舞い落ちた

その様子を私と教授はジッと眺めるだけ…





「しかし兄が踊りを継がないと言い出した途端、母親は私にすがってきました。お願いだから、継いでくれと。私は断りました。だが、想像した以上に母親の落胆が激しく、先日一号が盗み聞きした見合いへと発展したのです」


「…」



盗み聞きと言われ、何も反論出来ない私

だって教授が結婚しちゃうんじゃないかって心配で心配で


どうしようもなかったんだもん…!