観音開きの大きな玄関

そこは旅館ではなく一軒家だった



しかし一体ここは誰の……




「愁様ご帰宅〜っ!」



あの二人組の男が声を揃え叫んだその時
玄関がゴゴゴゴッとゆっくり開いた



「えええっ!」



扉が開いた先にいたのは、ズラッと両脇に並んだメイド姿の女性が頭を下げたままの状態で立っているではないか!!




「お帰りなさいませ、愁お坊っちゃま」




一斉に女性達がそう声を揃えて言うと

教授と中村さんは何事もなかったように家の中へ入って行く





「教授!まさかここって…!」

「私の実家ですよ」




ーー逃避行って単なる帰省のことだったのかよ!!

つーか最初からそう言えばいいじゃん!!
まだるっこい言い方するから、ややこしくなるんじゃないですかっ!!