その時、黒いスーツを着て黒いサングラスをつけた二人組の男が車から降りてきて
一人の男はサササッと後部座席の扉を開け
もう一人の男は教授と私が持っていた手荷物をサササッとトランクへ詰め込んだ
「乗りますか」
「ーーえっ!?本当に大丈夫なんですか!?」
「何かあったらその時はその時ですよ」
何の躊躇もなく後部座席へ座る教授に
私はアタフタしながらも恐る恐る乗り込む
「うわぁ…すごい」
中は快適性抜群の空間で
キラキラ光る内装に、シャンパンやらローストビーフやら置かれ
何だか一般のタクシーとは思えないサービスばかり
中村さんも車内の空気によほど満足したのか、嘴伝いで一万円をチップとして男性にあげる始末だ
「…それでは出発します」
スピーカーから聞こえてきた男の一言の後
車はゆっくりと前進しながら走り出したのだった
