「新年明けましておめでとうございます」


「ーーって教授!もう二月ですよ!?今更ですか!?////」


新しく幕が開けた平成二十五年


世の中は節分やら恵方巻きやらと季節感たっぷりの雰囲気に包まれているのに

何故か教授の研究室は、
謹賀新年の垂れ幕やら、鶴やら亀やらのオブジェが部屋中に飾られたままだ。


「嫌だなぁ、一号。今年初仕事じゃないですか」



ハハハと笑いながら扇子をバサッ!と開き優雅に仰ぐ教授の姿は、何故か袴姿だ。


「何言ってるんですか教授!昨日も一昨日も教授の雑用仕事してるじゃないですか!!」



ーー、つか、元旦からこの汚ったない部屋を大掃除したの誰だと思ってるんだっ!!
ぁああん!?



あっけらかんと笑う教授の顔を見て、ムカムカと殺意が芽生えてきそうだったが

そこはあえてスルーをしておこう




「一号。明日、学校無いですよね?」

「んぁあ!?あっ!は、はい」



ついついメンチを切ってしまったと我に返った私が慌てて返事をする。




「良かったら一緒に逃避行しませんか?」