見覚えのある服装をした女性が
走って出入り口の方へ歩いていく



距離は少し離れているが間違いなく私だと気づいた海翔は

慌てて立ち上がり後を追いかけた



「どこ行ったんだ?アイツ……」




しかし時は既に遅く、外のロータリーにはもう私の姿はなかった







「何処行ってたんよ」


そう行った神流の横に三度座った教授


しかしその表情はどこか浮かない顔



「愁さんが教えてる大学の生徒さんとばったり会ったみたいで」



教授をフォローするように櫻子も教授の後に続いて座布団の上に座った




「愁さんは院生に人気だとお聞きしてますよ。もしかして追っかけとか?」

「そんな滅相もないことを」


ハハハと両家の親同士で話が盛り上がる中

教授はじっと手のひらを見つめたまま俯いている



「……」



その姿を櫻子は考え深げに眺めていた