時間が経ってもホテルのロビーはたくさんの人間で賑わっている



「ったくアイツは何してんだよ」


同じフロアーにある待合室でソファーにふんずりかえり、苛々しながら私を待つ海翔


「昔っから何考えてるわかんねぇんだよなぁ」


頭をポリポリとかき愚痴をこぼしながら

私を探すように辺りを見渡していた



「お客様、当ホテル支配人の山田で御座います」



その時、海翔に白々しく近づいてきたスーツの人間


「んぁあ?」

「国王様の息子さまが当ホテルをご利用してくださっていると耳にしまして、ぜひご挨拶を。と……」


腰を曲げたままフフフと不敵な笑みを浮かべ、突然現れた支配人に海翔は睨みつけるように見つめる




「息子様の来店ともなればぜひこちらからお出迎えをさせて…」

「おっさん、邪魔だよ」

「おっ!?」

「邪魔で繭が探せねーっつてんだろうがよ!」

「ひぃぃぃいい!快適なお時間をお過ごしくださいませぇぇええ」



にやけながらしたでに出てた支配人の顔が一変

海翔にギラッと睨まれ、冷や汗垂らし全身硬直したまま、風のように何処かへ逃げて去っていった




ったく…とため息ついて、再び私を探し始めた海翔の視線が何かを捉える