教授が見合いに対して少しでも嫌な顔をしてくれたなら
私はそれだけで満足したかもしれない
嫌々な態度が目に飛び込んできたなら
やっぱり見合いを好き好んで参加してるわけじゃないんだって、内心喜んだかもしれない
最上階までやってくるエレベーターを待つ間
私の頭の中では教授の笑う姿が何度も蘇る
窓の外から見える眺めのいい景色すら気づかないほど
……コツ
その時、誰もいないはずのフロアーに足音が聞こえてきた
「……」
何気なく後ろへ振り返ると
そこには何故か教授が立っていた
「こんなところで何してるんですか?」
不思議そうに私を見つめる教授に
私はとっさに目線を反らしてしまう
教授の見合いをこっそり盗み聞きしてたなんてもちろん言えるわけがない
「一号」
様子が明らかにおかしいと察した教授が私に近寄り
私の腕をグッと掴んでまっすぐ見下ろしてくる
しかし教授の目すらまともに見れない私は、俯いたままだ
「……愁さん?」
その時、私と教授の前に現れた女性
実物を見た私はその可憐な姿に思わず言葉を失った