手紙をあんなクシャクシャにしてゴミ箱に捨てたとは思えないような光景だ



自分の中で

もしかしたら教授は仕方なくここに居合わせてるのかもと勝手に妄想していたが



実際はこの状況を一番楽しんでいるのは


案外教授だったり……





「愁さんは…、その結婚とか考えてますか?////」



京都弁なまりが入った櫻子が恥ずかしそうに教授を上目遣いで見つめる





「結婚…。そうですね、いいお相手がいれば」

「何言うてますの!目の前に最高のお相手がおるやないの!」

「いやっ、そんな私は……///」

「そう言っていただけると、こちらも嬉しいですな」



教授の言葉に神流が突っ込み、それに慌てた櫻子が顔を赤くして

櫻子の父親らしき男性がハハハと笑っている




「……」


その様子を息を殺して私は盗み聞き



教授に内緒で手紙を読んで

教授に黙ってここまで来て

教授に見つからないように見合いを隠れて見て……




ここまでの過程を振り返り私はふと我に返った





私、何やってんだ?






こんな事して
私に何のメリットがあるんだろ


一気に脱力感が襲ってきて
思わず襖を背にしてその場に座り込んでしまった