「ま、俺の手にかかりゃこんなもんだ」


鼻高々と言った海翔



「アラブンブンって何よ?」

「俺も知らねー」


つい思い出し笑いした私を見て、海翔もつられて笑った



入り口を突破したくさんの人間で混雑する広いロビーを抜けて
お見合いが行われている最上階の和食懐石料理店へ向かう


「で、こんなとこに何の用なんだよお前」

不思議そうな顔を浮かべて私の横顔を見つめる



海翔が不思議がるのも無理もない

いきなり電話するやいなや手伝っての一言だけで
詳しい詳細など伝えていないのだから



「もう大丈夫だから。わざわざありがとね、じゃ」

「おい!それだけかよ!!ちょっ、ちょ待てよ!」



海翔の質問を無視して一人でスタスタと行動する私に
キムタクばりの待てよ発言


足を止める様子もない私を海翔が呆然と見つめていた




時はすでに一時を過ぎ、問題が起きていなければ間違いなく始まっているはず!


待機していたエレベーターに乗り込み目的階数のボタンを押す私





静かに上昇し始めた密室の空間は

私を未知の世界へ誘うのだった