初恋は夢の中

笑っていた美加子が、急に真面目な顔になった。


『先生のコト、宜しくね…。』


えっ…。
驚く私を見て、美加子は続けた。


『私は元々、体が弱かったんだ…。先生と、一緒になってなくても、同じ運命だった…。ううん、きっともっと短かった…。私は、先生を幸福せに出来なかった分、美和子に託すね…。』

「美加子さん… 何、言ってるの…?」

『もう、私の役目は終わったって言うコト…。後は、頼んだからね…。』

「イヤ…。せっかく、こうやって話せたのに…」


私は、自然に涙が溢れた。


『アリガト…。私の為に泣いてくれて。』


私は、言葉にならなかった…


『先生に、私の分まで幸福せになって!って言って。それと、肝臓が弱いんだから、お酒は控えるように!って。ドックで再検が出ているんだから、ちゃんと行くように!って伝えてね。』



美加子が少しづつ、足許から消えかけてきた…