初恋は夢の中

式は、滞り無く終わるはずだと…

誰もが、疑わずに思うもの…


進藤先生の準備も整い、オルガンが響いた。

皆が立ち上がり、拍手を贈る。

いよいよ、扉が開く…


夏香が拍手をしながら、祝福の言葉を贈る。
「桃子!おめでと…ぅ…」


拍手が止み、静まり返った…。


入って来たのは、なんと寝坊して遅れてきた進藤先生の友達だった…。


ドコからともなく、
「嘘でしょう?」
「桃子って、女じゃないの?」
と、口々に飛び交った…。


遅れてきた友達は、訳も分からずにキョトンと立ち尽くし、数人の友達に引きずられていった。



「で…、桃子はぁ??」


私達は、探しにいく。



そしてあろう事か、間違って別の式場に入って行く所だった。


私達は慌てて、半分開いた扉を閉め、桃子と桃子のお父さんを連れ出した。


桃子達は、これまたキョトンとして、されるがままだった。


夏香が、息を切らしやっと声を出した。
「桃子!ドコに行ってんの…?」

「ドコって…?お父さんがトイレに行きたいって言うから、一緒に付いて行ったらプランナーの人に、もう始まってるから早く!って連れていかれたんだけどぉ…。」
不思議顔で、桃子は言った。

「そんな事より、みんな待ってるって…。」
真理が慌てた。



そしてまた、私達は走った…