「美和子ー。準備は出来たか？」
先生が、呼ぶ。

「も、もう少し…。もうちょっと、待って！」
慌てて、着物を着る。

オフホワイトの地に落ち着いた色合いのドット柄の着物に、黒地に上品な百合の帯を合わせる。
赤の帯〆に、白い花が３連に下がり、先には赤い木苺のガラスがついた帯飾りを着けた。


この着物は、私が無事に着付け教室を修了した記念に、先生に買って貰ったモノだ。





「お待たせ… どうかな…？」
先生に、着物を見せた。

「素敵だよ…。美和子。」
ソファーに座っていた、先生が立ち上がり私を見た。


「良かった…」
私は、紅くなった頬を両手で触り、俯いた…

「知らない内に、大人っぽくなったな…」
先生は、小さく呟いた…。





そして、二人はレストランへと出掛けた。