初恋は夢の中

「美和子…?」

「な、なに?」

「どうしたんだ? ボーッとして…」

「えっ!ううん。何でもナイ…」
慌てて、冷蔵庫を閉めた。


「美和子。ビール、なかった?」
先生が、冷蔵庫を見ようと近づく。


「えっ!あっ…、ごめんなさい。買ってくるの、わ、忘れちゃって…」
私は慌てて、冷蔵庫の前に立ち塞がった。


「いや、ヘンだな…。昨日は、ちゃんとあったはずだが…。 ちょっと、美和子!よけなさい。」

「へぇ…。あっ…そう、そういえば有る。有った、有った! 今日、暑かったからなんか、ボーッとしちゃって…」

「美和子?なんかヘンだぞ。飲んでるのか?」

「ま、まさか…。の、飲んでないよぉ…」


どれ?と言って、先生は私の口許に近づいた。

「んんー。飲んではいないみたいだな…。」

「そ、そうでしょ!お腹空いたから、早く食べようよぉ。」


腑に落ちない面持ちで、リビングに向かう先生だった…




私は、内心ホッとした。