いつでも俺を支えようと…
強く演じていた。
俺はそれに気付いていたのに、甘えていた。



灯は…普通に女の子だ。
だけど…俺の前では弱さを見せてくれなかった。



一緒に泣いてもよかったのに…
決して涙を見せなかった。



「…思いだした」



小さい頃、俺は灯が好きだった。




俺の傍にずっといてくれた灯が。
俺のことを支えてくれた灯が。



だから…弱さを見せてほしかった。
一緒に乗り越えていきたかった。
だけど…灯はそうしようとはしなくて…



俺が勝手に灯は俺のことを好きじゃないと思いこんだんだ。
だから、灯が俺のことを好きって聞いた時、嘘だろうと思った。



冗談だろう?って。
結局…全部俺が悪いんだ。



灯にちゃんと言おう。
あの時の想い。
そして、今の俺の想いを…。



「…ありがとな。わざわざこんなこと…」



俺がそういうと、優美はきょとんと不思議そうに目を丸める。



「…何が?」



「何がって…わざわざ海に連れて…相談にのってくれて…さ」



「…あぁ、そのことね」



何故か優美ははぁーっと溜め息をついた。
遠い目で海を眺める。



「…貴方の為じゃないわ。私の為に…しただけ」



「…そうか」



「………じゃ、また明日ね」



優美はひらひらと手を振り、去って行った。
俺はしばらくの間、海を眺めていた。