凌花ははぁーっと息を吐いた。
頭を俯いて、ぽつりと呟くように尋ねた。



「…先輩は…灯さんのこと…好きですか?」



「…どうだろうな」



自分で自分の気持ちが分からなくなってきた。
灯のことは…ただの幼なじみだと思っていた。
だけど、灯に告白されて…



灯が俺のことをずっと想っていたことを知った。
正直…嬉しかった。と同時に、どうすればいいかわからなかった。



灯は幼なじみだ。
断ったけど、関係が元に戻らないかもしれない。
灯が通り過ぎた時に言った『バイバイ』はそういう意味が含まれている気がした。



でも、灯の思いにこたえれば幼なじみではなくなる。
幼なじみから恋人になってしまう。



それに…今付き合っている、凌花を傷つけてしまう。
だけど結局、俺は二人とも傷つけている。



「じゃあ…あたしのことは好きですか?」



俺はそれにこたえれない。
本当に…分からないんだ。
自分の気持ちが全く。



「あたしは…先輩が好きです」



凌花は顔を上げ、真っ直ぐ俺を見つめる。
泣きそうな瞳で。



「この想いは…中途半端じゃないんです…」



「…知ってる」



それは知ってる。
凌花は真っ直ぐ俺を見ている。
真っ直ぐ見つめる瞳から、俺への想いが伝わってくる。



だけど…今、俺はそれにこたえられない。



「知ってる…けど、ゴメン。今俺は…」