俺はどうすればいいかわからなかった。
灯の最後の言葉が俺の頭の中に響く。



俺はとぼとぼと廊下を歩いた。
ふと顔を上げると、凌花と出会った図書室で、俺は思わず足をとめた。
俺は吸い込まれるように、図書室の扉を開けて中に入った。



中に入ると、何か考えている表情を浮かべる凌花が佇んでいた。
俺はゆっくりとそんな凌花に近寄る。
足音に気付いた凌花は俺を見て、驚く。



「…先輩?」



「こんなところでどうしたんだ?考えごとか?」



「……先輩もですか?」



「まぁ…そんな感じかな」



考えごとをしていて、図書室についてしまった。



凌花のこと。
灯のこと。
さっきの言葉の意味を…。



俺は灯から聞いたことを思い出す。
『那智のこと、中途半端なら諦めて』
灯はそう、凌花に耳打ちした。



灯の想いは…中途半端じゃなかった?
灯は…いつから想ってくれていたんだろう。



全く気付かなかった。
いつもそばにいたのに…
どんなに辛かっただろう。



「…灯に言われたんだろ?『中途半端なら諦めて』って」



「…灯さんから聞いたんですか?」



「…あぁ」



灯が俺のことを想ってくれていたことも聞いた。