ずっと…灯は辛かったんだろうか？
それでも、俺の傍に笑顔でいてくれた。
凄く…俺は心地良かった。
灯がいたから、俺は頑張れているんだと思う。
だけど…
「俺にとって…灯は大切な子だ。だけど…灯の言ってる好きとは違う気がする」
俺がそう伝えると、灯は肩を竦めた。
悲しそうな笑顔を浮かべる。
「…知ってる。そんなの初めからね。それでも…あたしは好きなんだよ。きっと…誰よりも…見ていたから…あの子に嫉妬してた」
「…嫉妬する必要ないだろ？だって…俺にとって灯は『大切な存在』なんだから」
俺がそういうと、目を丸める。
そして、力が抜けたようにふっと笑った。
「…そっか。那智はそういう人だもんね」
「…？」
俺が首を傾げていると、灯は「なんでもない」と言って微笑む。
「…あたしはそれじゃ嫌。だから…ゴメンね」
「ごめんって…」
俺がそれを尋ねようとすると、灯はすっと俺の横を通り過ぎる。
通り過ぎる瞬間、灯の小さな呟きが俺の耳に響く。
『バイバイ』
灯は確かにそう言った。
どういう意味か分からなくて、俺は後ろを振り返った。
もう、灯の姿はそこにはなかった。
