俺の背中を押してくれる人がいる。
沢山の人が俺を心配してくれていた。
同情なんかしていない。
『俺』をちゃんと見てくれている。
今まで…灯だけだった。
信じられるのは灯だけだった。
灯はずっと変わらずに接してくれていたから。
それ以外の人は信じられなかった。
だから、無理に信じようとは思わなかった。
どうせ、皆同情の目で見ていると…勝手に思い込んでいた。
でも…それは違った。
「本当に…ありがとな」
「……那智が幸せならいいよ。東雲さんと仲良くしてね」
「…あぁ」
泣かせてしまった。
傷つけてしまった。
だから、大切にしようと思う。
今度はちゃんと向き合うから。
利用しようとか考えない。
ただ…凌花に触れてみるよ。
今の俺なら…できる気がするから。

