図書室の秘め事*50㌢の距離*




俺の背中を押してくれる人がいる。
沢山の人が俺を心配してくれていた。
同情なんかしていない。



『俺』をちゃんと見てくれている。
今まで…灯だけだった。



信じられるのは灯だけだった。
灯はずっと変わらずに接してくれていたから。



それ以外の人は信じられなかった。
だから、無理に信じようとは思わなかった。



どうせ、皆同情の目で見ていると…勝手に思い込んでいた。
でも…それは違った。



「本当に…ありがとな」



「……那智が幸せならいいよ。東雲さんと仲良くしてね」



「…あぁ」



泣かせてしまった。
傷つけてしまった。



だから、大切にしようと思う。
今度はちゃんと向き合うから。



利用しようとか考えない。
ただ…凌花に触れてみるよ。



今の俺なら…できる気がするから。