脳裏に灯の言葉がよみがえる。
『…那智は気付いてくれた。鈍感でも…あたしの声に気付いてくれた。それだけで満足だよ』



二人は良く似ている気がした。
心の奥底が…凄く似ていて、心地よくて温かい。



俺のことを…分かってくれているような気がした。
それが嬉しくて、気付けば俺は凌花に笑みを見せていた。



「……ありがとう」



俺は弱い。
弱いからこそ、迷ってしまう。



真っ黒い暗闇で一人ぼっちで…
光を探して歩いている。



やっと…見つけた気がする。
居心地のよい、過去にとらわれない生活。
彼女となら…そんな生活を過ごせるような気がした。