俺が向かったのは図書室
昔から本が好きだったというのもあるが、ただ単に図書室には誰もいないから時間を潰すのには丁度いいと思ったからだ。
夕方の図書室は予想通り、静かだった。



教室に入ろうと、足を出すと―――
窓側に誰か座っていることに気がつく。



キャラメルブラウンのふわふわとウェーブのかかった長い髪
ダークブラウンのクリッとした丸く大きな瞳



すらっとした雪のように真っ白な身体
小柄な体型



初めて見る子だった。
彼女は窓際で静かに本を読んでいる。



頬杖をつき、本を読む姿がオレンジ色の夕日の光に照らされ、まるで絵のようだった。



トクンっと胸の鼓動が速くなるのが分かる。
彼女は何処か、他の女の子と違っていた。



雰囲気が大人びていて…誰ども可愛らしい感じもある。
まるでモデルのようだった。



俺はゆっくりと図書室に入った。
彼女の隣の椅子まで近づき、声をかける。



「…隣いい?」



少し声が震えているのが自分でも分かる。
彼女はちらりと横目で俺を見る。



「どうぞ」



彼女の声は高く、澄んだような声だった。
小さい声のはずなのに、この図書室に良く響く。



俺は彼女の隣にある椅子に腰掛かる。
そして俺は持っていた本を広げた。



時計の針がカチカチと図書室に響く。
彼女は俺がいても全く気にする様子もない。
堂々としている。



時計の針の音と吐息だけが耳に響く。
俺はふーっと息を吐いた。