一人になった俺は空を見上げる。
空は俺の気持ちとは裏腹に綺麗な青空だった。
「那智!どうしたの?」
「…優美か」
「何?灯ちゃんだと思った?」
クスッと意味ありげに笑う優美
見透かされているような気分だった。
「そういうわけじゃ…」
「灯ちゃんと喧嘩?珍しく二人で登校してしないからさ」
勘がいいというか…
鋭いというか…
優美は一方的に話し出す。
「まぁ、邪魔者が減って嬉しいんだけどね」
ふふっと微笑を洩らす。
邪魔者の意味に俺は首を傾げる。
「那智は気にしないで。こっちの話だから」
そう言って優美はちらりと灯のほうを見る。
灯は雄大と何か話していた。
「ねぇ…那智。あたしと一緒に帰らない?連れていきたいとこがあるんだけど…」
「…悪い。今日は一緒に帰れねぇや」
「…もしかして、噂の彼女と帰るの?」
鋭い視線が俺のほうにむけられる。
さっきの妖艶な笑みとは大違いだ。
一瞬、気のせいかと思ったくらいだ。
「いや…そうじゃねぇんだけど…」
「ふーん。じゃ、明日でいいわ。明日は大丈夫でしょ?」
「あぁ」
俺が頷くと、優美は嬉しそうに微笑む。
「ふふっ!よかった。じゃあね!」
手を振り、笑みを浮かべて離れていく優美
俺はそんな優美の後ろ姿を見て、溜め息をついた。
強引というか…強気というか…
優美は何処か、灯に似ている気がした。