久しぶりに教室に入る時、ドキドキしていた。
教室に入ると、嬉しそうに俺を見る皆の姿があった。



「那智、久しぶりだな!」



その中に、仲良くしていたある親友の姿があった。
片岡 雄大(かたおか ゆうだい)
中学時代から仲良くしていた。
授業に出ない俺を、陰ながら支えてくれた友達だ。



「雄大、久しぶり」



「やっと来てくれたなっ!担任、溜め息ばかりついてたんだぞ?」



「今日からはちゃんと来るって」



俺がそういうと、雄大は『当たり前だろ』と言って、俺の肩を叩く。
自然に話せていることがすごく嬉しかった。



そして、自分の席に久しぶりに座ると、ある女の子が俺の前に立った。



「那智くん、久しぶり」



それは学年一の美人と言われる女の子だった。
小村 優美(こむら ゆうび)
全然話したことないが、凄くやんわりとした優しそうな笑顔が惹かれる。



「えっと…小村…だったよな?」



「覚えてくれるんだ、嬉しいなぁ。話したこと、あんまりないよね?」



「…あぁ。珍しいな」



彼女はいつも、違う男子と話している。
俺のたまにその姿を見ていた。
だから、俺に話しかけてくるなんて意外だった。



「那智くん、全然来ないんだもん。本当はずっと話してみたかったんだぁ」



彼女はふふっと笑いながら話す。
ふんわりとカールした髪の毛が頬を翳める。



「あたしのことは優美でいいよ?あたしも那智って呼んでいい?」



「あぁ…好きに呼んで」



人懐っこい女の子だなと思った。
全然話したことないのに、彼女は親しげに話す。



「ふふっ、良かった。じゃあ、またあとでね~」



そう言って彼女は俺から離れてく。
首を傾げていると、見計らっていたように雄大が近寄ってくる。