「担任も色々言ってるよ?あと、あっちで女の子達那智のこと捜してたよ」



「またか」



半分呆れ気味だった。
俺を追いかけまわしたって何の得にもなんねぇのに。
俺がため息をついていると、灯は何故か楽しそうにくすくすと笑う。



「ご苦労さま。昔からモテるもんね~。早く彼女作りなよ」



「……俺と付き合う?」



冗談めかしてそういうと、灯に頭をゴツンっと叩かれた。



「ばーか!」



「殴んなよ…いってぇ」



「自業自得よ」



灯はムスッと不機嫌になる。



「冗談に決まってるだろ?」



「だから余計にムカつくのよ!」



「思ってもいないことを軽々しく言わないで!」と言い残し、灯はドスドスと校舎に戻っていく。
俺はそんな灯の後ろ姿を見て、首を傾げた。



「なに怒ってんだ?」



その理由を俺は知らなかった。
どうして灯が怒っていたのかも。



俺は不思議に思いながら、他の場所でサボろうと屋上に向かった。