近くで授業が終わったチャイムが鳴り響く。
ふわぁぁと大きな欠伸をし、日当たりのいい芝生から起き上がる。
「ねむて」
日ごろの睡眠不足が授業をサボっただけでは解消されない。
遠くでは俺の名前を呼ぶ女の子の声が聞こえる。
「面倒くせぇ」
立ち上がり、尻についた草を払う。
手をだるそうに上にあげると、一人の女の子が俺に気がつき、近寄って来た。
「もぅ~那智、また授業サボって!」
頬をぷくっと膨らし、不機嫌そうな女の子
俺の幼なじみの斉藤 灯(さいとう あかり)
この学校の中で唯一、昔から俺を知っている子
だからなのか、母親みたいで口うるさい。
きりっとした眉と目が気が強いところを一引き立てる。
「聞いてる?」
「あぁ?聞いてる、聞いてる。授業サボるなってことだろ?」
「今は出席日数の話!」
いつの間に話が進んだんだ?と俺は溜め息をついた。
灯は一度説教し始めると止まらない。
こうなっては手をつけられなかった。
「那智は意外に成績いいんだから、出席すればすぐに大学受かるよ?」
「以外にって言うな」
意外で悪かったな、意外で!と、俺は心の中で突っ込む。