「梶原、そろそろ行こう?」
「ん……、面倒」
いつもの会話を交わしつつ、私は椅子から腰を上げた。
HRも終わり、クラスの皆は各々動き出してる。
帰る子も、友達と話す子も、私達みたいに部活に向かう子も。
眠そうに眼を擦る梶原の背を軽く叩いて、立つように促した。
「梶原の伴奏がないと、私達、歌えないじゃない」
「……アカペラ」
「つべこべ言わない」
両腕を組んで呆れ顔でそういえば、後ろから笑いが漏れた。
「お前ら、ホント中三から変わんねーよな。そのやり取り、俺ってば何回くらい聞いてきたんだろ」
面白そうに肩を震わせる山下に視線を移して、だったら、とため息をついた。
「山下が梶原のやる気を出してくれる?」
「うん、無理!」
満面の笑みを浮かべると、がたりと音を立てて席を立つ。
「俺も部活行くし、んじゃな。ちびっこ」
荷物を肩にかけると、ひらひらと手を振って山下は教室から出て行った。
その後ろ姿を目で追って、小さく息を吐く。
声を掛けられるだけでドキドキして。
一日の終わり、放課後が来ると寂しくなる。
山下が所属するバレー部は体育館を使うんだけど、解放されているから生徒達が部活を見学するのが自由なのだ。
故に。
「三島」
耳元で呼ばれた名前に、驚いて振り返る。
いつの間にか立ち上がっていた梶原が、腰を屈めて私を見ていた。
「遅刻」
徐に見せてきた腕時計の時間に、焦って鞄を掴む。
「ホントだ! いこ、梶原」
こくりと頷く梶原を急かして、私は音楽室へと向かった。
「ん……、面倒」
いつもの会話を交わしつつ、私は椅子から腰を上げた。
HRも終わり、クラスの皆は各々動き出してる。
帰る子も、友達と話す子も、私達みたいに部活に向かう子も。
眠そうに眼を擦る梶原の背を軽く叩いて、立つように促した。
「梶原の伴奏がないと、私達、歌えないじゃない」
「……アカペラ」
「つべこべ言わない」
両腕を組んで呆れ顔でそういえば、後ろから笑いが漏れた。
「お前ら、ホント中三から変わんねーよな。そのやり取り、俺ってば何回くらい聞いてきたんだろ」
面白そうに肩を震わせる山下に視線を移して、だったら、とため息をついた。
「山下が梶原のやる気を出してくれる?」
「うん、無理!」
満面の笑みを浮かべると、がたりと音を立てて席を立つ。
「俺も部活行くし、んじゃな。ちびっこ」
荷物を肩にかけると、ひらひらと手を振って山下は教室から出て行った。
その後ろ姿を目で追って、小さく息を吐く。
声を掛けられるだけでドキドキして。
一日の終わり、放課後が来ると寂しくなる。
山下が所属するバレー部は体育館を使うんだけど、解放されているから生徒達が部活を見学するのが自由なのだ。
故に。
「三島」
耳元で呼ばれた名前に、驚いて振り返る。
いつの間にか立ち上がっていた梶原が、腰を屈めて私を見ていた。
「遅刻」
徐に見せてきた腕時計の時間に、焦って鞄を掴む。
「ホントだ! いこ、梶原」
こくりと頷く梶原を急かして、私は音楽室へと向かった。


