「ったく、なんだっての」
恥ずかしさを隠すために忌々しく吐き出すと、自分の席に勢いつけて腰を下ろした。
ガタンッと音が響いたけれど、気にするものか!
いや、気になるけどスルーしとこう。
視線を感じて顔を上げれば、梶原といつの間にか美奈がそこにいた。
ちなみに美奈とは、母性本能がどうのと言ったクラスメイトであり友達。
席が離れてるのが寂しいところ。
でも今は、その生暖かい視線が痛かった。
「毎日毎日、よくもまぁいちゃついてますこと」
呆れたようなその言葉に、梶原が目を細める。
「馬鹿だから。ある意味二人ともお馬鹿だから」
「え、私も?」
それ、山下に言っただけじゃなくて?
美奈に言い返そうとした言葉を飲み込んで焦って梶原を見れば、ん、と頭をこちらに寄せた。
「? ん、て?」
首を傾げた私の視界に、ひょこっと立ち上がったままの髪が映る。
あ、そうか。
「寝癖直してたとこだったんだよね、そういえば」
そう言いながら、手を伸ばして髪を押さえた。
「母性本能、擽られるわよねぇ。ホント」
そういいながら手を伸ばそうとした美奈を、梶原は片眉を上げてそれを制する。
「あら、私じゃだめなわけ?」
剣呑な言葉だけれど、声音も表情もまったく変わらず美奈はその手を下ろす。
梶原は、だって、と呟く。
「木村さんからは、変なオーラを感じる」
「何それ。どーせ、黒い靄とかいうんでしょ」
「腹黒オーラ」
ぽんぽんと会話を交わしていた美奈が、にやりと口端を上げて私の後ろに視線を向ける。
「それ、あんただから」
梶原も同じ方向を見てくすりと笑うから私も振り返ろうと身じろぎしたら、美奈に話しかけられて見る事が出来なかった。
恥ずかしさを隠すために忌々しく吐き出すと、自分の席に勢いつけて腰を下ろした。
ガタンッと音が響いたけれど、気にするものか!
いや、気になるけどスルーしとこう。
視線を感じて顔を上げれば、梶原といつの間にか美奈がそこにいた。
ちなみに美奈とは、母性本能がどうのと言ったクラスメイトであり友達。
席が離れてるのが寂しいところ。
でも今は、その生暖かい視線が痛かった。
「毎日毎日、よくもまぁいちゃついてますこと」
呆れたようなその言葉に、梶原が目を細める。
「馬鹿だから。ある意味二人ともお馬鹿だから」
「え、私も?」
それ、山下に言っただけじゃなくて?
美奈に言い返そうとした言葉を飲み込んで焦って梶原を見れば、ん、と頭をこちらに寄せた。
「? ん、て?」
首を傾げた私の視界に、ひょこっと立ち上がったままの髪が映る。
あ、そうか。
「寝癖直してたとこだったんだよね、そういえば」
そう言いながら、手を伸ばして髪を押さえた。
「母性本能、擽られるわよねぇ。ホント」
そういいながら手を伸ばそうとした美奈を、梶原は片眉を上げてそれを制する。
「あら、私じゃだめなわけ?」
剣呑な言葉だけれど、声音も表情もまったく変わらず美奈はその手を下ろす。
梶原は、だって、と呟く。
「木村さんからは、変なオーラを感じる」
「何それ。どーせ、黒い靄とかいうんでしょ」
「腹黒オーラ」
ぽんぽんと会話を交わしていた美奈が、にやりと口端を上げて私の後ろに視線を向ける。
「それ、あんただから」
梶原も同じ方向を見てくすりと笑うから私も振り返ろうと身じろぎしたら、美奈に話しかけられて見る事が出来なかった。


