「馬鹿は、あんたら二人」
「……っ」
びっくりして振り向けば、いつの間にか梶原が後ろに立っていた。
「でも、悪いのはあっち……」
「あんたら見世物?」
……見世物?
その言葉に梶原ごしに室内を見れば、笑っている部員の面々。
恐る恐る校庭に視線を移せば、面白そうに山下と私を交互に見る人達。
「山下の所為だからっ!」
恥ずかしさにそう叫べば、私の掴む柵の横に梶原が手を置いてひょいっと下にいる山下を見下ろした。
「どっちもどっち」
そう言ってひらひらと手を振ると、私の頭に手を置く。
「歌うんでしょ」
「うん」
落ち着いた梶原の声に冷静さがだんだん戻ってきて、小さく頷く。
屈めていた上体を戻して室内に戻っていく梶原の後から歩きながらちらりと山下の方を見たけれど、すでにそこにはいなかった。
ボールを持っていたから、もしかしたら体育館から飛び出したそれを取りに来ていたのかもしれない。
好奇な視線を受け流しつつ、美奈に拳骨をくらいつつパートに戻れば、上代さんが苦笑していて。
その視線から目を伏せて逃れながら、はぁ、とため息をついた。
もう今日は会えないと思っていたいから嬉しかったんだけど、どうして山下と話すとけんか腰になるかな。
山下とは、会った当初からこんな関係。
中学生じゃあるまいし、落ち着いてもいいと思うんだけど。
会えた嬉しさとかその後のやり取りの羞恥心とか、なんかもう複雑な胸中で。
歌いだしをすっかり忘れた私は、美奈にもう一度拳固を見舞われる羽目になった。
「……っ」
びっくりして振り向けば、いつの間にか梶原が後ろに立っていた。
「でも、悪いのはあっち……」
「あんたら見世物?」
……見世物?
その言葉に梶原ごしに室内を見れば、笑っている部員の面々。
恐る恐る校庭に視線を移せば、面白そうに山下と私を交互に見る人達。
「山下の所為だからっ!」
恥ずかしさにそう叫べば、私の掴む柵の横に梶原が手を置いてひょいっと下にいる山下を見下ろした。
「どっちもどっち」
そう言ってひらひらと手を振ると、私の頭に手を置く。
「歌うんでしょ」
「うん」
落ち着いた梶原の声に冷静さがだんだん戻ってきて、小さく頷く。
屈めていた上体を戻して室内に戻っていく梶原の後から歩きながらちらりと山下の方を見たけれど、すでにそこにはいなかった。
ボールを持っていたから、もしかしたら体育館から飛び出したそれを取りに来ていたのかもしれない。
好奇な視線を受け流しつつ、美奈に拳骨をくらいつつパートに戻れば、上代さんが苦笑していて。
その視線から目を伏せて逃れながら、はぁ、とため息をついた。
もう今日は会えないと思っていたいから嬉しかったんだけど、どうして山下と話すとけんか腰になるかな。
山下とは、会った当初からこんな関係。
中学生じゃあるまいし、落ち着いてもいいと思うんだけど。
会えた嬉しさとかその後のやり取りの羞恥心とか、なんかもう複雑な胸中で。
歌いだしをすっかり忘れた私は、美奈にもう一度拳固を見舞われる羽目になった。


