四階建て校舎の最上階に位置する音楽室の窓には、綺麗な青空が広がる。
学祭で歌う曲を練習しながら、私は九月の秋の空を堪能していた。




発声をこなした後、パートに分かれて練習を始める。
私はちびこい体の割に声が低めなので、女声パートでも低音のアルト担当。

他に高音パートのソプラノと、男声パートのテノール・バスに分かれる。
混声四部合唱と言っても人数がいるわけじゃないけど、中学の時は女声二部合唱だったから多い方。
全体で三十人近く、中でも男子は十人ちょい。
頑張ってもらわないといけないから、あと高校入ってから始めた子が多いからそこに美奈と梶原がほぼかかりきりになる。


アルトパートは私が中心になって、ハーモニカ(懐かしい)で音をとって練習する。
なぜ二年の私や美奈が中心になっているかというと、……三年生、少ないの。
三人しかいないという、素晴らしい人数。
しかも、皆受験生。
体育会系と違って明確な引退とか無いけれど、来月の学祭が一つの区切りとはなる予定。
でも予備校に通ってるのもあって、出てくるのがまちまちなんだよね。
んで、すでに二年生が中心になってるってわけ。





「ここから見る景色って、ホント綺麗ですよね」
歌い終えて息を吐き出すと、隣に立っていた一年生の上代さんが私と同じように空を見ながら感嘆するように呟いた。

「うん、そうだね」

それに答えながら、再び外に目を向けた。