「なに? 一人でショッピング?」
「そうです、先輩は?」
「俺も一人、よかったら軽くお茶しない? こんな偶然めったにないしさ」
ドクン!
思わぬ展開に、心臓が飛び上がる。
でも、決して顔には出さない。
だって、そんなの、なんだか負けた気がする。
「先輩、ホント、変わらないですね」
フフ、とあたしは軽く笑う。
大学1年生のときにはなかった、大人の余裕ってやつを見せつけてやりたくて。
ずっと、ずっと、決めていたのだ。
もしも大学を卒業してから偶然ハジメ先輩と会うことがあったら、あたしを振ったコトを後悔するくらい、うんといい女になっててやるんだって。
いい女は、お茶に誘われたくらいで、動揺したりしない。きっと……。


