「本当?嬉しいなぁ~」
さっきの沈んだ顔から一転、ニコニコ顔になった晃一さん。なんて可愛い30代なんだろうっ!思わず私の顔もニヤケてしまう。
「これも可愛いし、これもいいねー」
楽しそうにカップを選ぶ晃一さん。未だに信じられないなぁ、こんな良い人が私の旦那様なんて。
ジーッと晃一さんを見つめていたら視線に気づいたのか晃一さんも私の方を見た。
「どうしたの?百合ちゃん。」
「あ、別に・・・」
「百合ちゃんはどれが良いと思う?」
「あ、私はー」
私、まだ晃一さんについてはよく知らない。昔、弥生さんの事や弥生さんを亡くして絶望の中にいた晃一さんやそんな晃一さんを救った存在の事も私は何も知らない。
でも、まだ知らないままで良いんだ。私は晃一さんに比べてまだまだ子供。私がその事を知るのは私がもっと大人になってからで良いんだ。
そうしたら晃一さんに弥生さんのお墓を教えて貰おう。そして晃一さんと二人で弥生さんのお墓参りが出来たらいいな・・・
「私はこのカップが、良いです。」
「うん。じゃあこれにしようか。」
私達はゆっくり夫婦になれば良いんだよね。

