那智もあたしを真っすぐと見ている

微かに聞こえるざわめきさえも今は心地良いBGM


『雛…俺花奈と別れたんだ』


『えええ!!?』

自分でもビックリするぐらい大きな声が出てしまった那智もビックリしたらしく一瞬目を大きくした


『なんだよ?デカイ声』


『別れてないでしょ!?距離置いただけだって…だって…好きなの?って…泣いてた…』


『は??』


支離滅裂な事ばかり並べて泣きそうになっているあたしを見て那智は動揺していてほんとに漫画に書いたようなアタフタ感だった


『ちょー!ちょい待て!落ち着け!てか俺が落ち着け?』


何だか那智も変な事言ってる…

グイっ

え!?

それは一瞬で…那智があたしの掴んでいた右手を自分の方へと引き寄せた 当然あたしは那智の胸の中にスッポリと収まった
すると那智はあたしをそっと両手で抱きしめた


『で?距離置こうとか?好きかとか?あとは…』


あたしの頭の上に顎をのせながら話す那智の声があたしの頭に直接響いてきて 那智に心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかってくらいドキドキしていた


あたし今顔すごい…絶対ユデダコ…


『花奈に言われた?


ドキっとして反射的に那智ん見上げた
那智は目を細めてあたしに笑いかけていた
その表情にあたしは何故かすごく安堵感を抱いたよう

すぅっと息を吸い込みあたしは花奈との出来事を那智に伝えた

那智に理由も言ってもらえず距離を置こうと言われた事
那智の事が好きかと聞かれた事
ずっと那智を好きだったと伝えた事