自然と拳になっていた手をさらに強く握りあたしはゆっくりと彼女を見つめた


『あたしは…那智が好きでした…多分今も…だけど夏休み最後の日にあたしは振られました 那智はかな…さんのことが好きだから…那智とはその日以来話していないから…でも理由なく那智はそんな一方的な事しないと思います…』


心臓が飛び出しそうなくらいドキドキしていて 立っているのがやっとな位で…だけど何かを伝えなくちゃいけない気がして あたしはかなさんから自然を外さなかった


『夏休みの時 那智と偶然会った時はかなさんが…その…他の男の人と一緒なのを見た日で 那智はかなり傷ついてました

あたしは…那智を慰めたいと思いました』


不謹慎だ 傷ついている彼女に…


『でもダメだっんです…那智はかなさんじゃなきゃダメなんです!だから那智を離さないでください!那智を…那智の手を離さないで…』

言えない…かなさんの為じゃなくて 那智の為に…


『……よかったな……』


『え?』


『あなたがもっと嫌な子だったら良かったな…ありがと 突然話しかけたのに真剣に向き合ってくれて』


『え…?あの…』


訳がわからずあたふたしているあたしを見てクスクス笑っていた

『次那智に会ったらきっと今の意味わかるよ』


そう言って入ってきた時とは全く違う すがすがしい笑顔で教室をでていった



『き…綺麗な笑顔…』


なんだかあたしの頭では完全についていけず 思わず思ったことが言葉にして出てきてしまっていた


考える事も出来ず ボケットしていると 次の見張り当番の子が交代に来た

あたしはそのまま一人になりたくて部室に足を向けた

部室がある校舎は部外者立入禁止になっている為 学園祭中は滅多に人が来ない