『俺…雛の事好きだから』

『………』


『俺は自分の気持ちに素直に勝負するつもり』


『どういう意味だよ』
やっと那智は口を開いた


『そのまんまの意味だぜ?俺は自分の気持ち間違ったりはしねぇっていってんだよ』


佳祐は吐き捨てるように那智に言うと もう後ろは振り返らず あたしの手を掴んだまま 写真部の方へと向かった


何?好きって何?
佳祐あたしの事好きって言った?
自分の気持ち間違ったりしないって何?あぁ もうよくわからない

掴まれた手を振りほどく事すら忘れ さっき起きた出来事を何回も何回も 頭の中でリピートしていた


いつの間にか佳祐とあたしは写真部の前にいた


佳祐はあたしに『鍵かして?』 と首を傾げて笑いかけてきたから さっきまでの出来事なんてなかったかの様な錯覚にさえ陥った


写真部なんてほとんどは普段部活動なんてしていなくて たまにたまり場になるくらい


部室のドアを開けた瞬間 お天気が続いていたせいかムンと湿気の匂いが微かにした


1、2歩進んであたしは足を止めた
とゆーよりそれが限界だった