『お前に聞いてねぇ』


那智は全く動じず でもいつもより低い声で佳祐を見つめたまま言った


『つかお前女いんだろーが。雛と俺が付き合ってたって関係ねーだろ?
お前が決めた事だ。いつまでも雛がお前を想ってるなんて 自惚れてんなよ?』


え?何?
今何て言った? あたし佳祐に那智が好きなんて一言も言ってない


ドキンと心臓が波打つ
もう立っているのがやっと

グィッ


那智が掴んでいたあたしの手を 今度は佳祐が掴む


那智は何も言わない

佳祐はあたしの手を引っ張り歩き出した
あたしは抵抗すらできなくて ただ呆然としていた


少し歩き出して佳祐が足を止めた

『やっぱはっきりお前にも言っとくわ』


佳祐はゆっくりと首だけ少し振り返り 那智を見つめた