それからよく佐々木君とは話すようになった
GREEにもよく顔を出すようになった


那智とは同級生としての挨拶程度
時々教室の窓から彼女と帰る那智の後ろ姿を見た


夏は秋へと移り変わり あたしは佐々木君を『佳祐』と下の名前で呼ぶようになった


『文化祭お前クラスの出し物以外で なんかやんの?』


啓介が横で携帯をいじりながらきいてきた


『うん。写真部で展示やるよ〜』


あと一ヶ月と迫った文化祭の出し物について クラスで何をやるかもめていた

あたしはクラスの出し物より写真部の展示のほうが
気合いが入ってしまう

『お前写真部だろ?』

『そだよ〜?でも今年はまだ何撮ろうか決めてないんだ』

『じゃ〜俺の事撮ってよ』

佳祐の手がふいに伸びてあたしの髪に触れた

え…

佳祐がいつも見せない真剣な顔で言うから あたしは見つめたまま何も言えなかった

フッ 佳祐の真剣な顔が崩れていつもの笑顔に変わった

『な〜に赤くなってんだ〜よっ!』

瞬間触れていた髪をグイっと引っ張られ あたしは何だか変な格好になってしまった

『クックックッ…バーカ』
それだけ行って佳祐は机に伏せてしまった

びっくりした…佳祐のあんな顔…

熱くなった頬を両手で冷やしながら黒板に顔を向けた

この一部始終を
誰かがずっと見ていたなんて
これっぽっちも思わなかった