君色に

ハァ…ハァ…
『キャッ!』
浴衣で下駄で全力疾走でやっぱり派手に転んだ


『いた…ウゥ…痛い…痛いよぉ』

何が痛いのか
転んで擦りむいた足が痛いのか
胸が痛いのか もうよくわからなかった…


道路に座り込んだまま あたしは泣き続けた


那智…なち…ナチ…


やっぱりあたしは那智でイッパイで


那智の温もりも


那智の優しいフワフワ笑顔も


那智のキスも


全部ぜんぶ…


『…クッ…忘れられるわけ…ない…』


だけど自分が決めた事


那智…さよなら…


いつの間にか降り出した雨

それでもあたしはその場から動くことが出来なかった