君色に

『うわぁ…綺麗』


街の明かりが本当に宝石みたいに輝いていた 周りは暗く より一層輝きが増して見える


さっきの出来事もしばし忘れてしまい あたしは思わずいつも持ち歩いているカメラを向けシャッターを押す


『雛…』

ふいに那智があたしを呼んだ 体が何故か一気に緊張で固まった


『雛…俺謝らないって言ったけど…やっぱ謝る。ごめん。
本当は…お前と偶然会って水族館に行く前の日 花奈を見たんだ。そしたら知らない奴と腕組んで歩いてた…その事問い詰めたら アイツ 那智は皆に優しすぎる 雛って子にも 本当はあの子と何かあるんじゃない?って…
自分が浮気してたことには触れなくてさ…
そしたら雛に会って 雛が俺の変化に気づいて…
ごめん…俺かっこわりぃ…』


『謝らなくっていいよ』


気がつくとあたしは那智を抱きしめていた
背丈が大分違うから抱きしめたと言うより 抱き着いたの方が正確かもしれない

『雛?』


『那智は悪くないよ!那智が彼女大切にしてたのも知ってる!だって…那智の事ずっと見てたもん!謝らなくていいよ…那智…謝らないで…あたしでいいなら利用していいよ!』


なんて大胆な事言ってるんだろう
でも止まらない 溢れる…
那智が悲しんでる 苦しんでる 何でもよかった 那智の側にいたかった



こんな展開ありなのかな…あたし夢見てるのかな?
那智の心はあたしには向かれていないけど 今確かに那智の体温を感じてる…


那智…あたし今…幸せだって叫びたいくらい…
自然に涙が頬を伝う 那智は上からあたしを見つめて 指で涙を拭ってくれた


『雛泣かないで…』

那智が悲しそうに見つめるから あたしは那智の頬に触れて笑った


『嬉しい涙だから大丈夫』

それでも那智は何度も 大丈夫?とあたしに尋ねてきた