結局那智はあの後一言もしゃべらなかった
だけど家の前まで送ってもらい帰ろうと背を向けたまま那智は『あんがとな…矛盾してるかもだけど…俺は謝らないから。おやすみ』と言って帰っていった


あれから二週間 あたしの頭はやっぱり那智で一杯だった


何で…でもあれはきっと寂しかったから?うん…きっとそう だって那智は彼女の事が好き…


何だか何もする気になれなくてベッドの上でゴロゴロしていた


ハァ…
ヴー ヴー ヴー ため息と同時に携帯が震えた


『ッ…』


着信ーーー那智ーーー


無意識に深呼吸をして 通話ボタンを押す


『も…もしもし』


『雛?忙しかった?』


優しいいつもの那智の声がする
それだけで 顔がニヤケルあたしはやっぱり 那智でイッパイだ


『雛?』


あっ!いけないいけない!慌てて携帯を持ち直す


『だだ!大丈夫!暇だったから!どうしたの?』


『プッ…何慌ててるの?雛おもしれぇ』


電話の向こうなのに 那智が今どんな顔してるかわかっちゃうよ


『そんなに笑う事ないでしょ〜!』


恥ずかしくて意味もなく枕に顔を埋めながら話す


『ごめんごめん!雛今からちょっと出れる?
出来れば今日ちょっと帰るの遅くなっても大丈夫?』

『今から?大丈夫だけど…どうしたの?』


那智からの突然の誘い…うれしいけど…また何かあったのかな


『とりあえずじゃー 3時に駅前でいい?』


『う…うん!じゃーまた後でね』


那智と…また一緒にいられる?でも…那智は彼女とどうなってる?
気になる…