あたしは那智の腕の中にスッポリと入り 那智に抱きしめられていた


思考回路が完全に遮断してあたしは しばらく抱きしめられたまま 放心状態になっていた


すごくその時間が長く感じて 本当はどのくらいの出来事だったのかわからないけど抱きしめられたまま那智が口を開いた


『雛が初めて。俺の事気付いたの』


え?でも…あの…これは心臓が持たないです!


『夏休み入ってすぐさー 彼女に距離置こうって言われた!突然』


『え…』


那智の言葉に顔を上げる ひゃっ!顔近いです!
でもそれどころではなく ドキドキしている心臓を気にしつつ 那智の言葉を聞き返す


『それっきり…連絡も取ってない』


『何で?だって彼女は那智の事絶対好きだったよ?夏休み前!那智が他の子と仲良くしてるのは辛いって言ってた!』


なにを言ってるんだと自分でも思ってしまったけど あまりにも那智が悲しい顔してるから 那智を安心させてあげたかった


『那智は彼女が大好きなんだから!きっと…彼女だっ…っ…』


何でか涙が出て それ以上何も言えなかった


『ごめっ…ンッ…』


それは一瞬で…でもスローモーションのようにゆっくりだった


『雛サンキューな?』
ギュッ


那智はそう言ってまたあたしを抱きしめた


あたし…今…
那智に…キス…された…